Sugar × Spice Ⅲ〜ハジメテは年下幼馴染〜



…知らない!


もう知らない!!


なんなのよ!


なんで“俺の女”って言わないの?!


あのアユミ先輩の前じゃ言いたくないわけ?!


私が彼女だって、言いたくない理由でもあるの?




……あの子、可愛かった。


私なんかより全然…


そりゃ、ミスK大にも選ばれるわけだ。

女子アナとかになれちゃうわけだ。


この大学に通うくらいだから、きっと頭も良くて…


高卒の私とじゃ大違い。



あんな可愛くて完璧な女の子がそばにいたら、そりゃ涼だって……












「はぁ〜…もう最悪…」


私はベンチに座りこんだ。


大学の敷地内を走り回ってたら、出口が分からなくて完全迷子。


きた道も、ここがどこかもさっぱりわからない。


こんな広くて、学生の子も迷わないのかしら?

みんな頭良いから迷子になんてならないの?




…やだ、私ってば卑屈っぽい。


こんな風に思いたくないのに……












「えー、で、どうだったの?涼くんの彼女って」


突然の声に、私の心臓が大きく飛び跳ねた。


見ると、私のすぐ後ろをさっきのアユミって子とその友達らしき女の子2人が通り過ぎるところだった。

私は思わず、気づかれないように顔をうつむかせる。








「全然フツー!

もっとすごい美人とか想像してたけど、なんか普通すぎて拍子抜けしちゃった。

私の方が全然上って感じ」


「やだー、ヤな女!」

「でも涼くん、アユミが誘っても彼女がいるからの一点張りなんでしょ?」


「逆に良かったわ、どんな彼女か見れて。

私、絶対涼をモノにする。私のテクにかかれば、涼だって落ちるに決まってるわ」


「可愛い顔して、アユミってホント怖いよねー」

「ホントホント、これでどれだけの男が騙されてきたか!」


甲高い笑い声がだんだん遠くなっていった。


私は恐る恐る、顔をあげる。