「どうしたんすか?こんなとこで」
「あ…涼にコレ届けにきて…涼、どこにいるか知ってる?
大学って広くてよく分からなくて」
私はレポートを掲げて言った。
「あぁ、わざわざ彼女さんに届けさせたんすか、涼のやつ」
「涼ならさっき第二図書館に…あ、噂をすれば」
彼らの視線の先に目を向けると、そこには涼の姿……
「??!」
私は目を見開いた。
涼の隣には、女の子が一緒だ。
「あーあいつまたアユミ先輩と!!」
「だ、だれ?あの子」
私は2人に向かって聞く。
「アユミ先輩は3年生で、去年のミスK大っすよ!
卒業したら、NBSの女子アナ内定っすよ!
俺ら男子生徒の憧れの的なのに、あいつまた…」
「アユミ先輩、入学した時から涼のこと気に入ってるんすよ。
なんであいつばっかモテるかなぁ…」
ミ、ミスK大…?
女子アナ?
確かに可愛い…
しかも、私よりおっぱい大きい……!
「咲……」
涼が私の姿に気付いて、近寄ってきた。
「なにしてんだよ、ここで…」
「こ、これ、忘れ物!大切なレポートなんでしょ?」
私は封筒を涼に差し出す。
「母さん、咲に頼んだのか?」
「うん、町内会があるから行けないって」
「ねぇ涼、誰?この人」
その時、そのアユミ先輩とやらが涼の服を掴んで聞いた。
しかも、涼って呼び捨て……
「アユミ先輩、この人涼の彼女さんっすよ!ね?涼」
「え、そうなの?」
涼の友達が私をフォローするように言った。
「やめろよ、関係ねぇだろ」
だけど涼は、そうイライラしたように怒鳴る。
「咲、わざわざありがとな。1人で帰れる…っておい、咲!」
私はレポートを涼に押し付けるように渡すと、その場から走り出した。

