「…咲、入るよ?」
どれだけそうしていただろう。
いつの間にか眠っていたらしく、お姉ちゃんの声にハッと飛び起きた。
「咲、大丈夫?」
「う、うん」
お姉ちゃんがだいぶ大きくなったお腹を支えながら、ベッドにゆっくり腰をかける。
「…涼ちゃんと何かあったの?」
「え…」
「涼ちゃん、咲はお腹痛くなったとか言ってたけど、本当は違うんでしょ?」
「お姉ちゃん…」
お姉ちゃんがニッコリ笑った。
「ご、ごめんね?せっかくお姉ちゃんたち帰ってきて、みんなでご飯食べる席だったのに」
「ううん、そんなこと大丈夫よぉ。でも優ちゃんもお義母さんも心配してた」
「うん…あとでちゃんと謝るね」
私はベッドの上でうなだれた。
すると、お姉ちゃんがそっと私の頭を撫でる。
「涼ちゃんとケンカでもした?」
「ううん、ケンカとかそんなんじゃ…」
「そうなの?涼ちゃんも元気なかったよ」
涼は元気なかったんじゃなくて、きっと怒ってる。
大人げない私に、さすがに呆れてるかも……
「…ねぇ、お姉ちゃん」
「ん?」
お姉ちゃんがお腹をさすりながら私を見た。
「お、お姉ちゃんって、優兄ちゃんと、その……」
私は口ごもる。
「は、初めてしたのって、い、いつ…?」
「したって、何を?」
キョトンとした顔で聞き返すお姉ちゃんに、私は拍子抜けした。
「…な、なんでもない…」
お姉ちゃんに聞いた私がバカだったよ…

