Sugar × Spice Ⅲ〜ハジメテは年下幼馴染〜



「…咲、入るよ?」


どれだけそうしていただろう。

いつの間にか眠っていたらしく、お姉ちゃんの声にハッと飛び起きた。


「咲、大丈夫?」

「う、うん」


お姉ちゃんがだいぶ大きくなったお腹を支えながら、ベッドにゆっくり腰をかける。


「…涼ちゃんと何かあったの?」

「え…」

「涼ちゃん、咲はお腹痛くなったとか言ってたけど、本当は違うんでしょ?」


「お姉ちゃん…」



お姉ちゃんがニッコリ笑った。



「ご、ごめんね?せっかくお姉ちゃんたち帰ってきて、みんなでご飯食べる席だったのに」

「ううん、そんなこと大丈夫よぉ。でも優ちゃんもお義母さんも心配してた」

「うん…あとでちゃんと謝るね」


私はベッドの上でうなだれた。

すると、お姉ちゃんがそっと私の頭を撫でる。


「涼ちゃんとケンカでもした?」


「ううん、ケンカとかそんなんじゃ…」


「そうなの?涼ちゃんも元気なかったよ」


涼は元気なかったんじゃなくて、きっと怒ってる。

大人げない私に、さすがに呆れてるかも……


「…ねぇ、お姉ちゃん」

「ん?」


お姉ちゃんがお腹をさすりながら私を見た。








「お、お姉ちゃんって、優兄ちゃんと、その……」


私は口ごもる。


「は、初めてしたのって、い、いつ…?」






「したって、何を?」



キョトンとした顔で聞き返すお姉ちゃんに、私は拍子抜けした。




「…な、なんでもない…」


お姉ちゃんに聞いた私がバカだったよ…