「涼のバカッ!!
何よこれ?!どこがサイレント映画なの?!
こんなの見るなんて、最低!」
「だからコレは、あいつらが勝手に…
てゆーか勝手に人の部屋入って、勝手に見る咲だってどうなんだよ!」
言い返してきた涼に、私はますます腹が立った。
「…友達が無理やりって言っといて、本当は涼だってこういうの見たいんでしょ!
興味あるんでしょ?!したいんでしょ?!こういうこと!
….どうせ私は経験なくて、年上のくせにリードできないわよ!」
「お、おい咲!」
私はそう叫ぶと、涼の部屋を飛び出した。
家に戻ると、リビングには行かず自分の部屋に閉じこもる。
ベッドに倒れこんで、枕に顔をうずめた。
……バカみたい。
こんな子どもみたいに怒るなんて…
そりゃ、勝手に見た私も悪いけど…だけど、あんな……
さっき見た映像が、鮮明によみがえる。
心臓が、まだドキドキいってる…。
セックスって、あんなことするの…?
あんなとこ舐めたり、触ったり……
涼とあんなことするの?
涼に、あんなことされちゃうの…?
うぅ…無理……刺激、強すぎるよ…
…あ、ホラまた…やだ…
身体がウズウズしてきた……
私の身体は最近おかしい……
涼とキスしたり、
涼に触れられると想像しただけで…
身体の奥から甘い熱が湧き上がる。
だけど夢の中の涼は、いつも肝心なとこまでは触れてくれなくて……
だって私は経験がないから、夢の中だってキス止まり。
それ以上のことなんて、私の妄想の域を越えていワケで……
……だけど。
あの日以来…
あの、初めて涼にとろけるような深いキスをされた日以来。
私の中で、スイッチが入った。
涼に、もっと触れたい。
涼に、もっと触れられたい。
…だけど、処女のくせにそんなエッチなこと考えてるなんて知られたくなくて。
年上のくせに、そんなことばかり考えてるなんて涼に知られたくなくて…。
だから、どうしたら良いのかわからない。
これが23歳処女の、今目下最大の悩み。

