「あのっ……どこ中から来たの?」
こっちを振り向いた彼女は、びっくりしたような嬉しそうな顔をした。
正面から見ると、黒目がちの大きな瞳とぽってりとした唇がとても可愛らしい。
もっとお洒落すればいいのに……。
「潮音中……あなたは?」
「あたしはさつき中だよ!河北奈乃。奈乃って呼んでね!」
意外にも彼女の顔が笑っていて、あたしは興奮して少し早口になる。
「私は桜谷茜。よろしくね、奈乃ちゃん」
「うんっ!」
お嬢様っぽく微笑む茜ちゃんは、すごく可愛かった。
柔らかいオーラが、あたしの緊張を溶かしてくれる。
