この人痴漢です!


「……?君、東草だよね?」


「はいっ、今日から東草の新入生です!」


「俺も東草だよ……?制服でわかんなかった?」






え……。

えぇーっ!?



そういえば制服が、あたしと同じカラーリングだ。



青を基調にしたブレザースタイル。

左胸の校章が、何よりの証拠だ。





「き、気づきませんでした……」


「それよりさ、どうしてこの道にいるの?」


「迷いました……」





うぅっ、恥ずかしい。


あ、でも待てよ。

この人も新入生で、道に迷ったんだ、きっと!



仲間を見つけて、あたしは再び舞い上がった。





「ははっ、そっか。でも当たりだよ。ここは殆どの人が知らない、近道だから」


「そうなんですか……?」







なぁんだ、迷子じゃないんだ……。

でも道知ってそうだし、遅刻は免れられるかも。




「ほら、ここ真っ直ぐ行けば……すぐ校庭側の校門。普通の道より五分くらい早い」


「へぇ……勉強になりました」






彼の言う通り、暗くて狭い道に出口が見えてきた。

その奥には東草高校も見える。





「俺、羽生和也。2年7組だから、いつでも遊びに来てよ」





嘘っ、先輩……?

すっかり同い年だと思ってた……。






「あっ、あたしは河北奈乃です、クラスはまだわかんないけど、1年です……よろしくお願いします」