ー黒陽ー


「嫌いじゃない、と言っただけで、別に誉めてはいない!」


「それでも、嬉しいです!」


変わらずバタバタ暴れるリオさんを抱き締める


「っおい!アリス…!」


「私、決めました!」



ピタリとリオさんの動きが止まった


「…なにを?」


リオさんの顔をみつめる

あきらかに怪訝そうな

何を言い出すつもりだ?

という表情だ




「私が、これからお仕事をしていく上でのモットーです!」


「………」



「私は、看取る方の願いを1つ叶えます!でも、それは私の出来る範囲で。且つ、“黒陽”のルールに則ったもので!」


「無理に決まっている」


私に両脇を抱えられながら
見下すように薄く笑う



「無理じゃありません!やってみなきゃ、わかりません!」



私もムキになって答える


カナさんの願いを、完全にではないけど
叶えることができた

誰にだって
最期の願いがある

その願いに耳を傾け
力になれるよう、努力してもいいんじゃないか