ー黒陽ー


「安請け合いでした…私が、カナさんを苦しめると、もっとちゃんと分かっていたら…」


「願いを断れた、そう思うのか?」


リオさんが鼻で笑う



「…自信はありませんが」

「今さら何を言っても変わらないが、あえて言わせてもらう。お前は絶対に断れない」


「うっ!!」


き、厳しい



「ただでさえお人好しなお前が、死ぬ間際の最期の人間の願いを断れるハズがない。現に」


くるりと私の正面に座る


「お前はあの子の願いを…違う形だが、叶えた」








そう









カナさんが最期を決め

死を迎える瞬間に

私はカナさんのプレゼントを回収し

カナさんの魂の抜けた体…その近くに置いた


カナさんの友達に分かるように



だって、あのままだと
カナさんから手放されたプレゼントはコンクリートに当たり
そしてトラックの下敷きになる


そういう流れだった




でも、そんなのは悲しすぎる



だから…少しだけ
カナさんの本当の願いは叶えられなかったけど

願いの手伝いをさせてもらった




その後、プレゼントがどうなったのかは分からないけど


きっと、カナさんの親友の手に渡っただろう