「私じゃなかったら、こんな小さい子が死んでしまうんでしょ?」
カナさんは苦笑した
視線の先には、私の後ろに倒れている男の子
「…この子を助けたかったから、私は飛び出した。それなのに未来を変えて、今度は私が生きてこの子が死ぬのを見る…辛いでしょう。きっと、一生、後悔する」
私はまた、泣いていたと思う
「だからせめて、プレゼントを渡したいの…大切な大切な、友達のプレゼントだから」
カナさんはにっこりと
私に微笑んだ
「…なぜ…あなたは、泣かないのですか?」
普通の人間なら
こんな落ち着いて振る舞えない
自分の死を、
こんな簡単に受け入れられるハズがない
「あはっ…確かにね…普通、きっともっと大泣きして、叫んでるはずだよね。私も最初アリスちゃんに死の宣告をされたときは、冷静にはなれてなかったし」
「では、なぜ…」
カナさんはクスリと笑った

