ー黒陽ー


「チャンスが欲しい」



カナさんは私を見つめたまま呟いた


「もう一度、やり直したい」



「未来は、変わりません」



私はカナさんを見れなかった
うつむいたま、呟く


未来は変わらない



言いながら私も疑い始めていた


本当だろうか



本当に、
変わらないのだろうか




「私は、ただ…サキにプレゼントを渡したいだけなの」


チラリと、自分が手放して宙に待っているプレゼントを見た




「…喜ぶ顔がみたいだけ」


「生きたいと、思わないのですか」




私は…この時くらいから
怒りを感じていた


この世の不条理さに



カナさんは、何も悪くないのに



「そりゃあ生きたいよ…死ぬのは、怖い」


「カナさんが死なない未来を作るために、チャンスが欲しいのですか?」


カナさんはゆっくりと
首を横に振った