ー黒陽ー



「…泣いてるの?」



ハッと我に返り
自分の頬を触る




驚いた






私は、他人の死に

泣いている




「…泣いてるんだね」


カナさんは、小さな声で微笑みながら呟いた



「…優しい死神なんだね」


「いえ、私は…!」






言葉が出なかった





私は、死神ではありません

でも、

私が看取れば
あなたは死ぬのです


子供を助けようとした
あなたが





おかしい



死すべき人間は、沢山いるのに





私のときみたいに










「…アリスちゃんに、お願いがあるの…」



顔をあげると、カナさんは

泣いていなかった


でも、瞳に
強い意思を感じた




私の瞳が涙に濡れすぎていて

恥ずかしくて

しっかり、顔を合わせることが出来なかった