ー黒陽ー


「ねえ、アリス」


保健室を出て、くるっと私の方に向き直る


「敬語、やめない?」


いたずらっぽく私の唇を指差し、ニコッと笑う


「やめようと、努力はしているんですが…」

「敬語はコイツの癖だ」


リオさんが私の足元でピシャリと言い放つ


「俺にだって敬語のままだ」

「リオ様に敬語は必須ですもの!」


サラはふふっと笑いながら少し腰を屈めリオさんに顔を近づける


…これが普通の人だったら、
この黒猫が"リオさん"だと知っている人ならば
地面に跪き、無礼な発言、大変失礼いたしました…!って思わず謝っちゃうくらい、リオさんは凄い人らしいけど
サラは"様"や敬語は使うけど接し方はいたって普通
といっても、私もリオさんへの接し方は普通なんだけど…





「ねえアリス、あたしともう長い付き合いだよね?」

「まだ3ヶ月くらいだけど…」


「友達、だよね??」


「は、はい…」


「“うん”でしょ!」


「う、ん!!」


やっとこさ絞り出した返事に
サラは満足そうに
うんうん、と頷いている