西日が世界をオレンジに染めていく──夜の香りがじわじわと足下から迫り、

「あっ!」

「なんだよ! びっくりするだろ!」

 息を潜めていたローグたちが突然、声を上げたネリネに発した。

「ごめん。ママに遅くなるって伝えてないなって思って」

「携帯は」

「ローグんちに忘れてきちゃった」

「仕方ないな」

 溜息を吐いたオリジナルが携帯を取り出し、電話をかける。