一方黒ローグ──こちらも当然、誘拐に備えた準備を始めた。

 チャラとは違い、彼は事前に父親にしっかりと話してある程度の理解をしてもらえた。

 完全には信じてもらえなかったが、家に警備が置かれたのと企業スパイについて調べるとの事だ。

 しかし、ローグは考えた──その日に誘拐されなくとも、危険が去った訳じゃない。

 奴らがどうにかならない限り、こっちの平穏な日々は訪れない。

「なんで俺が、あいつらのためにビクビクしなきゃいけないんだよ」

 ローグは段々、馬鹿らしくなってきた。

「悪いことしたらおしおきしなきゃだよな」

 実はキレると怖い黒ローグ。

 その口元には笑みが浮かんでいた……