俺達の家は学校から3駅ほどの距離がある、前まで絵美は自転車でその距離を往復していたが、俺が乗り遅れたり乗り過ごしたりとさんざんな目にあっているのを気にかけて一緒に帰ってくれている。

「具合悪いの?」

「えっ…大丈夫だけど…」

「ずっと下向いているから具合悪くなっちゃったって思っちゃったわよ…」

「あ…ごめん…」

「いいの私がかってに心配しただけだから…」

「そっか…」

こうやって声をかけてくれる、昔からこいつはそうだった…いつも俺は甘えてばかりで、もっとちゃんとしなきゃとは思っているけどそれが出来ない…

「ほら駅着いたよ?」

「ありがとう…」

口がかってに動いていた

「何?」
ふいに絵美が顔を覗きこんできた…
「何でもない…行こう」

「そう…」

ちゃんとありがとうも言えないなんて…最低だな、俺は…

駅から10分歩いた所に家があるいつも絵美の家からは明るい光がもれだしている、俺の家はほとんど両親は泊まりがけの仕事のせいでいない、1人暮らし同然だ…

「晩ご飯出来たら呼びに行くね!」

「うん…」

そう言って絵美は家にはいって行った…両親が友達だということで絵美の家でご飯を食べさせてもらっている。

誰も居ない家の鍵をとり開ける…

「ただいま…」

暗い家に俺の声だけが響く…部屋以外はほとんど使ってないとどうぜんだ…荷物も私物もほとんどない…

「1人か…」

俺は呟いてから階段を上る…部屋は一番奥にある。暗い階段に夕日が射し込んでいた。