『さようなら、今までありがとうね』


それが、彼女の最後の言葉だった。

僕は彼女を止めることができず、去っていく彼女を見届けるしかできなかった。



彼女の姿が見えなくなった途端、視界がぼやけてきた。

初めての涙だった。


ドラマや映画を見て涙を流したことがあるが、こんなに泣くのは初めてだった。

初めてだったから、どうしたらこの止まない涙を止められることができるのかわからなかった。

ただ……泣き続けた。





今思えば、どうして追いかけてやれなかったんだろうか。

もしあの時、追いかけて彼女を止めれば、何かが変わっていたかもしれない。

そう思う。



でも、もう遅かった……。


もう、彼女とは会えない――。