怖いよ。

もうやだ。死にたい。

ゴオォと不気味な音を出しながら吹く強い風が私を震え上がらせた。

下を見ると真っ暗で、車の電気や街灯がちらほら見える。

それでも私は決めたのだ。

今日、私は私を殺す。

だって誰も私を殺してくれない。

こんなにも臆病で、何もできない私を殺してくれないから。

自分で殺すしかないのだ。

この、親友を殺した手で。

ゴオォと相変わらず気味の悪い音を立てる風が私の背中を押し、

暗闇に体が引きずり込まれる様に前へ倒れた時、

「やめろ!!!」

透き通った声が暗闇に響いた。

それと同時に私の体が思い切り後ろへ引っ張られ、尻餅をついた。

「痛っ....」

苦痛の声を上げる私にハァハァと息を切らした男の人が

「落ちたらもっと痛ぇんだぞ?」

落ち着いた声でそう言った。

私の瞳からは涙が溢れていた。

なぜかは分からない。

ただ、「私」を必要としてくれてる様で嬉しかった。

こんなにひどい私なのに。

親友を、殺したのは私。

それでも親友の家族は

「美優ちゃんのせいじゃないのよ?」

そう言った。

私は、その言葉に満足なんてしていない。

するわけが無い。

いじめられていた親友に何も出来なかった。

助けてあげることも、声をかけてあげることすら出来なかった。

そのせいで親友は自ら命を絶ったのだ。

そんな親友を横目にのうのうと自分だけ生きているなんてできない。

そう思い、身を投げ出そうと思ったのに

「なんで止めんのよぉ!!!」

私は子供のように泣きじゃくった。

「フゥ....俺で良かったら話聞くから、言ってみ?」

私はそんな優しい言葉をかけてくれる男の人に

『安心しな』

そう言われている様に思えた。