切られるかと思い 目を固く閉じた菊は 髪に飾られた銀梅草に触れ 恐る恐る信長の方を見た。 「ふむ。よう におうておるわ」 信長が満足そうに笑った。 菊はこの乱暴で強引な いずれ戦国時代の代表的武将となるであろう信長を 恐ろしく思いつつも どうしようもないくらいの 胸の高鳴りを抑えきれずに 見つめた。 「どうかしたか?」 「いえ!なんでも」 信長は菊の手をとり 「では、帰るとしよう」 そう言って 竹林の中を歩き始めた。