栃尾城は 
瞬く間に
炎に包まれていった。



一旦外へ出たものの

菊の姿を
見つけられずにいた
景虎は


「もしや!

まだ 
城の中に!」


水を頭から被り
火の中へ
身を投じようとする景虎。


「おやめくだされ! 景虎さま!」


家臣たちに
腕をつかまれながらも


「離せ!
ゆかねばならぬ!」


もがいて 
火に包まれた城へ
入っていった。