布団に 優しく寝かせ 未だに寒さに震える菊のため 火鉢に火をつけた。 そして 菊の腕を さすり 「悪かった」 と詫びる景虎は 戦国の世を生き抜くために 戦う武将ではなく 一人の 恋する男に過ぎなかった。 菊は 腕をさすられながら 景虎を うすれゆく意識の中で ただ 見ていた。