♥♥♥信長の愛しきひと…淡雪のような恋♥♥♥


牢屋の隅に
丸くなっている人影があった。





景虎は 
見張り番から
鍵を奪うと

自分で 
開けて
菊の傍へ寄っていった。






体を抱き寄せると
小刻みに震える菊の体は


氷のように
冷たかった。



菊は
朦朧としながら
景虎を見上げた。


「わたしは

わたしは……


絶対に 
あなたの子など」


そう言い出す菊を
景虎は
自分の胸に押しやると


「もう
よい!

言わなくても良い


このように 
冷たくなったそなたを


これ以上 
見ておれん」



そう言って
菊を抱きかかえると


景虎は
元気をなくし
景虎に大人しく抱かれている菊を

牢屋から出し
抱き上げたまま

自分の寝屋に 
戻った。