茣蓙もひいていない床は
裸足の菊には
酷だった。



少したつと
体が冷えてきた。



牢屋番の男が
菊をかわいそうに思い


持っていた手ぬぐいを
牢屋の格子から
入れてよこした。


「それを踏んでいなせえ。

少しは 
ましでしょう」



「ありがとう」



菊は 
それでも 
寒くて

ガタガタと震えていた。