♥♥♥信長の愛しきひと…淡雪のような恋♥♥♥

「わたしは」

景虎に握られた手を引っ込めると

菊は
景虎を 
真っ直ぐに見た。


「ごめんなさい
なんと言われても
帰りたい気持ちは変わりません」



景虎は

「これだけ 
言っても
無理と申すのか? 

また逃げ出すと?」


「……はい」



「この者を……」

景虎は 
立ち上がると
悲しげに
菊を一瞥し
大声を上げた。


「この者を!
地下の牢屋へ
入れるが良い!」


部屋を出て行く

景虎が 
菊を振り返る場面は

ついに
訪れなかった。