景虎は、
ガラスの破片がささった
菊の足を 
丁寧に洗ってやり

清潔な布で 
ゆっくりと
拭くと


薬を 
傷口に塗り

布をあてて 
巻いてくれた。




「……これで……良いであろう」

景虎は 
薬を箱にしまうと

侍女や 
おつきの者を

人払いして
菊と二人きりになった。