「お前の世話をしていくうちに
なおの事
お前が恋しくなり
想いが募っておったのじゃ。
だが、無理はいかん。
今は何も考えずとも良い。
ただ、体のことを考えるのだぞ。よいな」
そういうと、優しく由花の体を布団へ寝かせ景虎はどこかへ行ってしまった。
そばに控えていた侍女が
由花の布団を整えると
「景虎さまが女の方に
御執心なご様子のは
今まで一度も
見たことがありません。
あなた様の事を
大層お気に召したようですね」
もう一人の侍女も
「そうでございますよ。
これで
長尾家の跡取りの
心配もございますまい」
「は?跡取りって
それって?」
由花は驚いて
起き上がっていた。


