「人間五十年、下天の内をくらぶれば、
夢幻の如くなり。」
信長は
自分の好きな一節を謡った。
勝利祈願の為だ。
人の人生など
生まれてから死ぬまでは
まるで夢か幻のようなもの。
この世に
滅びないものは
存在しないのだから・・・
この戦に
我は命をかける!
菊!
いつものように
わしを
導いてくれ!
信長は
お守り袋を
ぎゅっと握り締めた。
「うおーーーーーーーっ!
ゆくぞーーーーーー」
と信長は
雄たけびを上げた。
嵐のような雨の中を
馬に乗った
雄々しき姿の信長は
大きく
刀を振り上げて進んでいった。


