「なに?!
何する気よ!」


床に腰をぬかしたままの由花を
追い詰めるように長尾医師が
近づいてくる。


「あなたは
あの時代に戻るべきです」



「景虎の子孫?


何が書物に書いてあったか知らない・・・


でも 私が愛した人は
長尾 景虎じゃないもの。


私が長尾景虎との間に子孫なんか
残すわけない!」



「・・・・戦国の世に

舞い降りてきた 愛しき人・・・

由花


由花は 
ありえない事ではあるが


違う世界から来たと
私に話してくれたと
書物には書いてありました。

由花といえば
あなたしかいないでしょう?」



腕を押さえられ
長尾医師に無理矢理にうたれた
注射のせいで

由花は 
瞼を開けたくても
開けられなくなっていた。