眠ったままの由花の耳に 声が 男の人の どこかで 聞いたような それでいて 凄く せつなげに 菊という名を 呼び続ける声が ずっと 聞こえていた。 何故・・・ そんな風に 切なそうに その名を呼んでいるの? 早く・・・・ 返事をしてあげて・・・ 由花は 静かに目を開けた。 白い壁・・・・ 水色のカーテン・・・ 加湿器の 白い蒸気が目に入った。