菊が目を覚ました所は
見たこともない和室だった。



「目が覚めたか?」


咳をしながら
髭をたくわえた男が
現れた。


「!誰!」


「・・・お前が
あの 長尾のお気に入りのおなご とな・・・」


髭をさすりつつ
菊を観察するように


じっくりと舐めるように
見つめた。



「ふん!


そのへんの女と
なんら 
変わらんがのう・・・


わしには
皆目見当がつかん!


こんな小娘に


長尾景虎ばかりか

織田信長までもが
うつつをぬかすとな?


まことの情報なのか?」