「のう,おぬし。
先ほどから
何をしておる」
上の方から
低い声が
突然聞こえてきて
由花はびっくりして
上を見上げた。
そこには
どうやって登っていたのか
竹を両脚の指に挟んで
手は万歳した様に
竹を掴んだ男が
由花をじっと見下ろしていた。
「だ……誰?」
男は
ザザーーーッと
竹をしならせ
滑り降りてくると
由花の
目の前に立ちはだかった。
「なるほど
遠くで見るよりも
こうして近くで見てみると
更に
美しいおなご」
男は、女のように美しい風貌
眼光も鋭かった。
ザザッと
音がしたかと思うと
いつの間にか
辺りは
旅商人風の男たち数人に
取り囲まれていた。


