景虎に
優しく髪を撫でられながら



悪いとは 
思いつつ……


菊は
やはり違う男を想っていた。



菊が想う人は
過去も未来も
ただ一人・・・




だが・・・


その人は
あと数日で


別の女と夫婦になるという。



菊が景虎に逆らわずに
いる事は
自分の身を守る術だった。




何日か・・・
月のものだといって


稼いだ日をうまくつかって
ここから

脱出しないと・・・



もう 
来たくなかったのに・・・



戦国の時代・・・



もう・・・・


あの人は 
私のことなど
二度と助けになど来ないのだから。