菊の体は
あたたかくなってきたものの


いまだに 
小刻みに震えていた。


景虎は
小動物のように


可愛らしく 
震えていながらも


体を 
自分へと預けてくる菊が


なんとも言えず
愛しかった。


愛しくて 
たまらなかった



愛しい菊の体を


布団にゆっくりと
押し倒した。


瞬きを繰り返しながらも


ほてった顔で
景虎を見上げてくる菊は


この上なく美しかった。


景虎の胸が熱くなってゆく。



口づけをしようと


景虎が 
菊に顔を近づけてきた。



ほんのりと 
赤く染まった景虎の顔もまた


凛々しく
それでいて


美しかった。



「景虎様・・・・実は・・・」


菊は 
近づいて来る景虎の耳に


そっと
囁いた。