景虎は
人払いをして


慎重に

丁寧に


菊を 
カゴから 出すと


まだ 気を失ったままの菊を
そっと抱きかかえた。



「・・・・よお・・・


また 戻ってきてくれたのう・・・


そなたを 
こうして 抱きかかえる日を


どんなに 
夢みた事か」



景虎は 
そっと


布団に 
菊を寝かせた。