その時
城内の廊下を


ばたばたと
人が走る音が続き


「景虎さま!
お待たせいたしました」


家臣が 数人やってきて


大きなカゴを
運んできた。




景虎は
はやる心を抑えながら


「下がってよい」


 家臣を下がらせ
大きなカゴの蓋を
開けた。



中には
気を失って


押し込められている菊の姿が
あった。