あまりの出来事に
胸が苦しくて
張り裂けそうになる。


菊は 
泣きながら胸を押さえた。



後ずさりを続けた菊は


信長が 
差し伸べた手が
菊の腕を掴む前に

菊の体は
離れていく。



「きゃっ!」


「菊!」


菊は、後ろ向きのまま
足をすべらせ


中庭に 
落ちて行き


中庭の石で
頭を打った菊。

菊の頭から
幾筋もの血が

冷たい石へと
流れていく。