すると、その手を
信長がパッと止めた。


「ほう」


信長が自分の脚を見ているのが
わかり
菊は耳まで赤くなって

信長の手を振り払い
裾をなおした。



「菊……」

菊を後ろから抱きしめる信長。


「あの」

赤くなっている菊を
信長は、じっと見つめた。



「この想い
どう伝えれば
良いのやら……

もはや、わからぬ」


信長は口をぎゅっと
閉じて

菊を開放すると
立ち上がった。


「菊

お前には
決まった男がいたのか」


「え?」


「想い人は、おったのか?」

小さな声で呟くように言う信長は
いつもの信長では無いようで・・・


とても切なげな表情を
菊に向けた。