「うむ 連れてまいれ」 菊の腕を引っ張って さっきの山男は 織田 信秀の前に 進み出た。 菊を座らせると 山男は頭を下げた。 「これなるは信長様が 山奥に住まわせておる お菊殿です」 頭を下げたままそう言った。 「ふん、そうか」 信秀は 信長の父親である。 信秀は 扇子を開いたり閉じたりしていたが やがて菊に近づいてきた。