不審火のせいで
城も 
菊も失った景虎は


自身も 
火傷を負っていたものの

菊が 
死んでしまった事が

受け入れられずに
日々を淡々と過ごしていた。




あの女子一人とて
助けられないなどと……


そんなわしに
この後に及んで何が出来ようぞ



景虎は 
はかなくも

美しかった菊の面影を
密かに思い

悲しみにくれつつ



きっと


逃げて 
生きていて欲しいと


願ってやまなかった。