あるマンションの22階ー2204号室、
緑のマスコットのキーホルダーが付いた鍵をチャリ、と揺らして扉を開けると、玄関の赤いヒールを確認して中に入る。
「ーー圭」
先に着いていたのか、奥の部屋から麗子さんが出て来て小さく微笑んだ。
「アンタね~自分の家みたいになってるじゃない、ほとんど圭の物ばっか。一様アタシの家なんだけど?」
「あはは、ごめんごめん今度片付ける。プリン買って来たよ」
帰ってくる途中に寄ったコンビニの袋を持ち上げると、「ミルク付き?」と麗子さんがテーブルに体を乗り出した。
僕が頷くと、一気にテンションが上がったように喜んで、袋の中を覗いていた。
「あれ、圭学校行ってたの?」
「行ってたんじゃなくて、行こうとしてた」
「何だ、そうだったの?ごめんねアタシ邪魔しちゃった?」
心配そうに振り向いた麗子さんを、僕は後ろから抱きしめて小さく首を振った。
「麗子さんだから、どこでも来るよ」
「...圭.....」

