「ん?何、これ」
「ん?」
ストップサインを出されて体を離すと、麗子さんが少し膨らんだ僕の右ポケットを指差した。
「ああ、さっきいちごオレ買ってた時に麗子さんからメール来たから....」
そう言いながら手を突っ込んで紙パックを取り出すと、唖然した。
確かにプッシュしたのはいちごオレのボタンだったはずなのに、今僕の手に握られていたのは茶色いパッケージのカフェオレだった。
「ぷっ、いちごオレ?」
「いや...あれ」
おかしいと頭を人差し指で掻くと、麗子さんが僕からカフェオレを取り上げた。
「苦いのダメなくせに。まだまだお子ちゃまだね、圭は」
そう言って、ふっと笑った。
「....怒るよ」
「ごめんって、じゃあこれはアタシが貰うから」

