――仕事が終わり流れつくように彼の部屋へとやってきて離れた僅かな時間を埋めるために夜半まで抱き合った。
私の願いを全て聞き入れ、まるで脱け殻にでもなったかのように身体をドサッと大の字にして息を切らせてぼんやりと天井を眺める彼を私は隣でじっと見つめていた。
「……勇気…」
「…ん…?」
彼は私を見る事なく放心したような様子で空返事をする。
……。
勇気は……私といて本当に幸せなの…?
そうよ。この物足りなさ。
……彼の情熱。
狂おしいほどに私を求めるほどの。
だけど、…そんな事を考える自分が嫌になったりもする。
勇気は優しい。
私が不満を感じる事なんて本当ならないはずよ。
むしろ、彼の方が私を不満に思っていてもおかしくはない。

