「あんたは今のままでいいのよ!
私がいないと何も出来ないような顔をして、オロオロと悩んでいればいいの。
自分で自分を変えようと努力する必要なんてないの!」
「………は…」
彼女は俺の手から煙草を奪うとそれを灰皿にねじ込んだ。
「……そんなあんたを…守ってあげたいのよ、私が」
………。
ああ。そうか。
彼女流の愛情表現。
大きな肉食獣も、我が子や仲間を命を賭けて守り通す。
ケモノ女に満ち溢れる、弱き者に対する愛情。
「………守ってあげたいのは……俺……だけ?」
「は…?」
俺は彼女に顔を近付けてそっと訊ねた。
「…え、どういう……?」
話をしかけた彼女の唇をそっと塞ぐ。
「?!」
驚く千歳を気にも止めずに、そのまま唇を優しく吸いなぞる。

