「……私は…勇気に出世しろ、だなんて…言った事ないわよ」 「……うん。だけど…」 「勇気は平気なの? 私と会えなくても」 彼女の口調が段々と怒りを帯びてくる。 「…平気じゃないよ。 だけどこれはチャンスなんだ。 …自分を変える…」 「だから、私は変わる事を望んでないってば!」 彼女はそう言って俺をひと睨みすると、そのまま出口へと向かって歩き出した。 「………」 変わらず、今のまま、ずっと…? それが一番いいのか。 男として、将来を真剣に考える事は間違っているのか。 ………君のために。