ケモノ女が愛するオトコ〜草食男子の扱い方〜



もう一度、藤崎を見る。

……あ。
彼が私を見ていた。
パッと目が合う。

だけど彼はふっと一瞬で目を逸らした。


「………」

私は悲しくなった。
今朝まであったあの温もりはもう、私の身体を包む事はないのね。

『ありがとう…ございました』
藤崎の声が頭に響く。

………お礼を言うのは…私の方だわ。
ありがと、藤崎。

外見を気にしたり、独占欲を丸出しにしたりして。
……フラれる…はずよね。


私はパソコンに手をかけると、涙を堪えたまま、伝票を打ち込み始めた。