ケモノ女が愛するオトコ〜草食男子の扱い方〜



だけどすぐにその彼女にもフラれるわよ、あんたなんか。
何と言っても、この私の魅力に気付かないほどの鈍感男なんだから。


本当にバカよ。
私が、…この私が、あんたみたいなやつと付き合ってあげる、と言っているのよ?

何で、無理なのよ。
私の何が不満なのよ…!


私は彼を見たまま、涙をじわじわと滲ませた。

…いやだわ、泣くつもりなんて…。
あんなヤツのために。

あり得ないわ……。

だけど…どうしてこんなに
悲しいの?!



「…千歳ちゃん」

呼ばれた方を向く。

私の隣から顔をひょっこりと出して私を見ていたのは、同期の宮岡だった。

「…何泣いてるの?
靖夫の事でも考えてたの」

………。
靖夫……?

……んな訳、……ないでしょ……。
忘れてたわよ、その名前。