「分からないわ、そんなの。
だけど、嫌なのよ。あんたが他の女と話したりしていると何だか腹が立って仕方がないの」
すると彼は、フゥと軽くため息をついて俯いた。
「藤崎?」
「……俺は…あなたがずっと好きでした。
あの夜も…あなただから、拒みきれなかった。
他の人とだったら、朝まで一緒にはいなかったと思います」
………は。
何?
急に真面目な声で。
何を言うつもりなの。
あんたはただ、私の言う事に『分かった』と言えばいいのよ。
『他の女とは話さない』と。
「…あなたと恋人になれるなんて、夢のようだととても嬉しかった。
あなたの理想に少しでも近付こうと努力もするつもりでした。
だけど。
…やっぱり無理なのかも知れませんね。
俺は沢森さんの思うような男にはどれだけ時間をかけてもきっとなれないと、今思いました」

