だけど今朝から何となく気付いていた。
女達の彼に対する視線の種類が変わった事に。
「藤崎…。
私だけだよね?私が好きなのよね?」
ねだるように彼を見つめる。
「え」
「さっきみたいなのは嫌なの。
桐山に対してしたみたいな態度は。
他の女と口を聞かないでよ」
「…え。…さっきみたいなのって?」
藤崎が首を傾げている。
自覚がないのね。
まあ、注目を浴びる事に彼は慣れていないから。
危険だわ。きちんと教えておかないと。
これからはきっと勘違い野郎が沢山出てくる。
千差万別の笑顔を誰にでも振りまいたりしてはいけないのよ。
「あんたを誰にも渡したくないの。
わたしだけの藤崎でいてもらわないと」
「………。
……沢森さんは……俺が好きなんですか」
………は。
…好き?私が?こいつを?
イマイチ実感がない。
改めて訊かれると、そうだと…言い切れない気がする。
だって始まりも曖昧で、今の気持ちも曖昧で。

