「いいえ。このメンバーでの活動はやめませんわ」
「ン?……どゆコト?」
「……山田十字郎、誰かは知りませんが、
そいつの正体を暴き、逮捕に追い込めば、
一応の安全は確保できます。……
これから我々ソアレ怪盗団は、
しばらく『十三探偵団』として、
活動することにします」
「はーい。質問。十三って……?」
「……最後の晩餐?」
「そう。簡単に言うと最後の晩餐ですわ。
さすがマナ、私の親友だけのことはありますわ」
「???……ちょっとー、クワシク解説してよー」
「はい。それでは僕が説明しますね。まず昔、
聖人キリストがユダに裏切られ十字架に掛けられた、
そういうエピソードがあることはご存知ですね?」
「……???……う、うん」
……本当でしょうか。
「キリストには十二人の使徒がいます。
キリストを含めると十三人ですね。その中の
ユダが裏切ったので、キリストが十字架に
掛けられることになりました。
その前日の光景を描いたのが
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵、最後の晩餐ですね。
そのエピソードから十三を取ったのですね」
「……???え、どうしてキリストが
カンケーあるの?」
「この場合キリストというより十字架ですね。
僕達の相手は山田『十字』郎ですから」
「……な、なるほど……でもそれっておかしくね?」
「何がだよ」
……?何がおかしいと言うのでしょう?
「そのエピソードだと十字架ってただの置物じゃね?
それじゃあ十字郎を倒す!ってことにならないよね」
「……んー……それはほら、十字架はキリストを
象徴するものだから、十字郎をキリストに見立てた、
そうじゃないんですか?」
……そこら辺は考えてませんでしたわ。
「……え、ええ。そうです!……」
「えー、でもなんかナットクいかなーい。
アタシ達が十字郎を裏切るわけじゃないでしょ?」
「えーと……それは……縁起というか……」
「あ、それじゃあこういうのはどうかな?」
マナの提案。それは……
「『十三』じゃなくて、『一十三』ってするの。
それで、『ひとみ』って読むことにしたらどうかな?
十字郎を倒す!ってのと、
ひーちゃんの名前、それが合わさって、
……ひーちゃんが十字郎を倒す?」
「……合わせてどうするんですか?」「イイネソレ!」
……あら、瞳民は納得したみたいですわね。
……じゃあそれでいいですわ。
