その夜。

気分を出すためだけに変装し、

飼っているコウモリを連れ、

私は市立美術館に向かいました。

「あれ?……自動ドアが動く……?

もう営業時間は

終わってるのに……?

まあいいですわ。

ちょうどいい」

今思えば、こんな無謀なことしなければ

あのいけ好かない探偵に、

会うこともなかったんです。

「……?警報も鳴らない……?

!?」

突然、明かりがついて、

私の姿が照らされました。

「しまった……!」

やっぱり罠だった。

そう思いながら、目を開けました。

目の前には、一人の女がいました。

それもとびっきり、

いけ好かない巨乳の女が。

「あ、あなたは……?」

彼女は異様な風貌でしたわ。

まるで天使であるかのような、

銀色の輝きを放つ機械の翼。

その天使めいた翼とは対照的に、

右腕に身に付けているのは

黒く輝く機械の銃。

そんな装備で、一体何を……?

「私は……探偵、蛇波神ツバサ」

「探偵……」

そんな格好をした探偵があるか。

そう思いました。

「いったい、探偵が何の用ですの?」

でも、私はもう小学校5年生なので

大人です。

だから、ツッコミはあえてしません。

それが大人の対応だと思ったからです。