「なんか今日・・・加藤くんおかしいよ？」
奈々は相変わらず俺の目を見ようともせず言った。

「別におかしくねえよ。お前がおかしいんじゃねえの？」
俺は誤魔化すためにわざと冷たく言った。



それでも奈々は口調を変えず、言った。
「あたし・・・今日は帰るね。」
「あっ、おい！！待てよ！なんで帰るんだよ？」
俺が慌てて引き止めると奈々はうつむいたまま言った。



「だって・・・今日の加藤くんホントおかしいよ？落ち着いた時にまた来るから・・・。あたしはこんな加藤くんに会いに来たんじゃないよ？」




「・・・・。」
俺は何も言い返さなかった。いや、言い返せなかった。





奈々は黙ったまま玄関に向かった・・・が・・その足が止まった。




「これ・・・誰の・・・・？」




そう聞く奈々の声は震えていた。